パワーフードとしてのニンニクは古くから認知され、世界中で食されています。
ただ、臭いが気になって沢山食べるのに抵抗があるという方も多いのではないでしょうか?
しかし、野菜の中でもニンニクは、様々な効能を期待できるとても重要な存在なのです。
そこで今回は、世界のニンニク摂取事情を通じて、独特の臭いと驚くべきその効能の関係に迫ってみましょう。
ニンニクの国別消費量ランキング
世界中で食されているニンニクですが、国ごとに摂取のされ方も違います。
まずは、国別のニンニク消費量ランキングを5位、予想してみてください。
正解は…
1位 中国
2位 韓国
3位 バングラディシュ
4位 インドネシア
5位 インド です。
(出典 : Garlic Market Report / Index Box Al Platform)
意外や意外、パスタやピザで有名なイタリアが入っていません…!
実は、イタリア人にとってのニンニクは食するものでなく、あくまで料理の香り付けであるようです。逆にどちらかというと苦手な人が多いそうで、ピザにはあえて固まりで乗せて、嫌い人は取り除いて食べるとか。
私、すっかり誤解していました。すみませんイタリアの人…
このようにニンニクは臭いで敬遠されがちですが、実はあの臭いこそが、私たちのカラダを健康にしてくれる驚くべきパワーを持っているのです。
ニンニクの主成分「アリシン」の知られざる働きと効能
ニンニクの歴史は古く、紀元前の古代エジプト王やツタンカーメンの墓から、ニンニクの模型や乾燥ニンニクが発見されており、ピラミッド建設の労働者たちのスタミナ源としてニンニクが用いられていたという記述も残っています。
当時は、食品というより薬草としてニンニクは重宝され、医療に使用されていたようです。
そして中国・朝鮮半島を経由し、日本に渡ってきたのが4世紀頃といわれています。
日本でも、ニンニクは疲労回復やエネルギーの源として重宝され、普段の食事でニンニクを摂取しています。
しかし、ニンニクの効能は、疲労回復だけではないことがあまり知られていません。
そこで、代表的なニンニクの効能をおさらいしてみましょう。
ニンニクの効能
①疲労を回復させる
ニンニクの効能を一番発揮させるのが「アリシン」です。元はアリインという物質で無味無臭なのですが、刻んだりつぶしたりすることで、アリシンという物質に変わり、独特の臭いを発生します。
アリシンは滋養を高めるビタミンB1と結合し、体内に長く留まろうとします。
ビタミンB1はエネルギーの生産効率をアップさせるので、疲労回復に強い力を発揮するのです。
②血行を促進する
ニンニクの主成分「アリシン」や「ビタミンE」が、末梢の神経や筋肉の血管を拡張し、カラダの隅々まで血液を循環させ、サラサラにして血管のつまりを防ぎます。
これは女性などに多い、冷え性や、肩こりなどの症状の改善にも役立ちます。
③抗菌・抗酸化作用をアップさせる
アリシンはカラダの抗菌作用にもパワーを発揮してくれますが、その強さゆえ胃への刺激も大きいので、食べすぎには注意が必要です。
また、「アリシン」は細胞内に浸透しやすく、その強い抗酸化作用が体内の活性酸素を抑えてくれます。アメリカの国立がん研究所が、がんを予防するファイトケミカルとして、デザイナーズフーズ計画のピラミッド(※)の頂点にニンニクを選んでいたこともあるほどです。
その他、ニンニクは消化器系や肝機能を正常にするために働きかけたり、自律神経の乱れを整えたり、美肌を促進したり、カラダに備わっている自然治癒力(免疫)を高めたり、たくさんの効能が発見されているのです。
そんなにカラダによいものなのに、ニンニク特有の臭いが気になるというだけで食べないのはもったいないですよね。
そこで、臭いを気にせず食べる方法を4つご紹介します!
ニンニクの臭いを抑えて食べる4つの方法
①熱する
ニンニクの「アリシン」は不安定な成分ですが、油で調理すると壊れにくくなると言われています。ただし「アリシン」は熱に弱いので、熱しすぎも注意です。
②ニンニクを切らずにそのまま食べる
「アリシン」になる前の成分である「アリイン」をそのまま摂る場合は、切らずに「ホイル焼き」や「ニンニクの酢漬け」などにすると、ニンニク特有の臭いはぐっと抑えられます。
③ニンニクの繊維に沿って切る
ニンニクの繊維を壊さずに切ることで、臭いが出にくくなります。
④防臭効果の高い食材と一緒に調理する
西洋ハーブやショウガなどと一緒に調理することで、ニンニクの臭いをごまかすことができます。
ニンニクを日常に取り入れやすく、かつ効果の高いものは①か②です!
お気軽に、ニンニクを美味しくいただきましょう。
それでも抵抗がある…という方は、食前に牛乳を飲んでみて下さい。
乳製品の主成分、タンパク質はアリインと結合しやすいため、臭いの発生を抑えてくれます。
ニンニクを世界一美味しく食べられる料理とは!
世界一美味しいニンニク料理?!シュクメルリ
世界にはニンニクを美味しくいただく伝統料理がたくさんあります。
旧ソビエト連邦から独立した、コーカサス地方にある国、ジョージアには、世界一美味しいニンニク料理と言われる「シュクメルリ」なるものがあるそうです。
鶏肉を牛乳、サワークリーム、そして丸ごと1つ以上は使うというニンニクと共に土鍋で煮込むとのことですが、牛乳やサワークリームとの相乗効果でそこまでくどくはなく、いくらでも食べられるとか。
さらにこのお料理、少し前まで松屋さんの限定メニューで提供されていたのに逃してしまっていました…!
いつか現地へ食べに行きたいです。
韓国は薬食同源文化!タットリタン
隣国の韓国は薬食同源という捉え方で、ニンニクを積極的に食事に取り入れています。
鶏肉とじゃがいもなどの野菜を辛いスープで煮込み、大量のニンニクを乗せて登場するタットリタンという鍋料理は、韓国風肉じゃがといった感じで、いかにも身体が暖まりそうな健康メニューです。
日本のニンニク事情
さて、我が日本ですが、和食にニンニクが登場することはあまりありません。
昔の日本人は肉を食べる習慣がなかったうえ、仏教の思想に基づき、ニンニクやニラなど臭いの強い野菜は禁葷食といって食べることを禁じられていた背景があるのでは、と言われています。
肉食となった現代では、ニンニク料理が食卓に並ぶことも多くなりましたね!
「無臭ニンニク」はニンニクではなくネギの仲間
ニンニクの臭いが気になるのなら、無臭ニンニクを摂れば良いのでは?と思われている方も多いかと思います。
ですが、実は無臭ニンニクは別名「ジャンボリーキ」という西洋ネギの仲間で、ニンニクとは全く別の野菜なのです。
確かに、見た目も味も、ニンニクそのものなので、混同しやすいかと思います。
ニンニクの臭いを発生させるアリシンがニンニクに比べて1/60の量しか含まれておらず、当然その分、アリシンの効能もわずかしかありません。
ただ、「サポニン」という成分が肝機能や動脈硬化などの健康に作用してくれるので、お酒の好きな方は摂取するとよいでしょう。
まとめ
いかがですか?敬遠していたニンニク、実はあの臭いはカラダを守ってくれていたのかと、ちょっと見直しましたでしょうか?
昨日ニンニク食べたよ!と周りに口外しておくなどして、今日からは気にせず、積極的にいただきましょう!!
※デザイナーフーズ計画…1990年代、アメリカ国立癌研究所による、がんの予防のため、ファイトケミカルを特定して加工食品に加えようとした計画。